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  String Gloss ( ブラックナーガ )


〜立体再現と特殊振動による至高のラインサウンド〜
※掲載品ステレオフォンタイプ(ストレート−ストレート)










 
2m以上のご注文で、シルドラボラトリー監修のオリジナルIR データ(ライト版)をご購入の方にプレゼント。音源制作に必要なリバーブや、シルド独自理論 で制作したサウンドトリートメントを行えるプラスファイルなど多数収録。
※ご使用の際はIRファイルを読み込めるリバーブソフトをご用意下さい。
(●フリーのインパルスレスポン ス導入参考記事)



Wave Plus+デモサウンドはこちらよりどうぞ



フェイスブックで投稿したリバーブ実験です。
こちらもどうぞ


先日ケーブルやステレオボックスから、リバーブについてのお話も少し書いたので すが、丁度いいのでシルドで生産したもの等を組み合わせてピックアップのリバーブテストをしてみました。全部で7ファイルほどの短いファイルです。それぞ れ別のリバーブや...

Posted by Sird  Laboratory(音響製品開発&楽器材のヴィンテージ化処理) on 2015 年2月8日










■ Reality matching (リアリティ・マッチング)
ライン上のアコースティックサウンドにおいて、最も重要であり再現が難しいのは
リ アルさです。
通常我々が聞いているほとんどの”音”は立体空間による位相(距離感や位置の事)が大きく関わっており、
二 次元のサウンドではなく三次元の音を聞いています。実際の生楽器は否応なく三次元で音が展開され、それを聞いているプレイヤーやリスナーは生音の魅力を 知っており、その音の傾向は深層心理に刻まれ本能的に覚えています。
つまり
リアルさとは音色だけでなく時間軸による位相も必要であり、この音の速さを味 方に付ける事で初めて、生音と同じ三次元の 音(立体表現)を再現可能にします。
これにより聴覚上の不自然さが解消され、違和感の無いサウンドとなるのです。
あくまで不自然では無く人間の耳に合わせてあげる・・・これがリアリティ・マッチング理論です。


■ 
EWF (Emotional Waving Filter)旧モデルはこちらのみの搭載です。
興奮や快感を脳に与える特有の揺らぎを、信号が通る際にピックアップ信号等に印加させる特殊技術です。
研究の結果から得られたこの振動パターンを信号周波数を邪魔する事無く乗せる事で、出音は殆ど変わらないながらも感覚的に作用する面白い機能が備わりま す。
ある意味
催眠効果とも言えるのではないでしょうか。
特定の音がモデルになっており、それから抽出したパターンを出すようにケーブル自体を組み上げるので、

全体がフィルターとなっています。



■ CVX
音声信号が通過する際にケーブルから副次的に発生する不要な倍音を整理する技術。不要倍音にマスキングされている音源の明朗化によってレンジ感の向上から生まれる情報量の拡大を行う 事で、源音が本来持つ空気感や気配を さらに引き出します。
より手軽に聞きやすく滑らかで抜けの良い低歪みのサウンドを提供します。


■ DPG処理(CVX標準搭載開始)2011・8/7より〜
より高い音抜けを実現するために考案されたサウンド理論。同じボリューム位置でも、より
中域がハッキリと大きく聞こえるようになります。ミックス作業で、またはアンサンブルなどで音の抜けが向上するた め、コンプやリバーブでの設定が非常に楽に狙いやすくなります。同じ音量でも音通りがよいため、ライブでのハウリング対策にも高い効果を発揮する特徴があ ります。



 
DPG処理を体感してみよう

DPG処理とはケーブルへ信号を通過させる際に、デジタル処理では極 めて難しいアナログ感のニュアンスを通過サウンドに付加する新しい技術です。 一例として、使用例を音源と共に説明します。
 




<各種ブラックナーガ処理・サウンドムービー>



既にCVXを所有されている方はDPGにバージョンアップ可能です。

その際はCVXケーブルを当方までご郵送頂きますので、バージョンアップについては別途お問い合わせ下さいます様、宜しくお願いい たします。




Space Program(WavePlusの前身技術です)によるウェーブフィールド構築デモと、音源等でよく聞かれるタイプのリバーブサンプルです。
Blakc  Naga サンプル(アコギ)Live感 by Sird  Lab

Blakc  Naga サンプル(アコギ)リバーブ by Sird  Lab


Space Programとブラックナーガを用いての前後比較サンプルです。
これに限らず多種多様に空間を操る事が可能ですので、一つの方向性としてお聞き下さい。
(前半ノーマル)〜(後半調整サウンド)
Black Naga & Spプログラムサンプル(バンドサウンド)Remasta 後半調整済み by Sird Lab

Black  Naga & Spプログラムサンプル(piano&strings)Live感 後半調整 by Sird Lab





様々なサウンドデザインを行う中で蓄積した膨大なノウハウをブラックナーガへ。
新たに
RealTech-CVXとして前作を超える上級モデルが完全新設計で登場致しました。

前作を超える事は容易な事ではなく、そのための様々な新技術の開発搭載を必要としている側面や従来の基本設計ではこれ以上のダイナミクスやニュアンスによ る迫力のある音像を稼ぐのは難しいと考え、我々は新技術の搭載とそれを支える新たな基本設計との共存の道を模索してきました。
「一体何が好まれるのか?」という疑問を、生のサウンドの核と考えているオーダーメイド弦【プ レミアムエクリシオ】の膨大な試験データから照合し、 人の感覚変化を頼りにRealTech-CVXプロジェクトをスタートさせました。 もちろん前作からの技術であるEWFを 継承しながら、新搭載のCVXを絡める事でよりワイドな音に包まれる感覚を届けます。
そのサウンドは前作を凌ぐ程のレンジ感に始まり、よりスピーカーの前面に形成する音像、ピントの合った美しい倍音と抜けによってプレイヤーの再現したかっ たニュアンスの獲得にも完全に答えます。
前作からの基本性能の違いはこれらサウンドの向上を体感する事でご理解頂けるでしょう。

音源の空気やニュアンス再現を念頭にしたBlack Nagaシリーズは与えられた音源に対して完全にダイレクトな反応を見せます。アナログ機器における現場でのサウンドの変化はもちろんながら、今後さらに 膨大な情報量の処理を行うであろうビットやサンプリングレートという制約を持つデジタル録音やエフェクトへの進歩にも対応します。

シルドからの一つの音の理想を Black Naga RealTech-CVXによって掲げます。



Black Nagaは滲みのない周波数特性からケーブルでの不用意なエフェクトが起きず、高S/Nによるノイズフロアの低下で得られる高いダイナミック特性が持ち味 です。
複雑な特性を非常に高度な技術で多数盛り込む事により
音響成分を余さずはっきりと聞き取れるレベルで再現。
ジャックにナーガを差し込む事で、高い情報精度から展開される
透明感の中に立体的に浮かんでは消える躍動感と、音と音の間すらも表現する静寂を宿す有機的な音の変化があり、また高精度な位相特性から実に奥行きのある空間表現を可能にし、非常にナチュラルな音色と音場を再 現します。
非常に細かい弱音まで確認できるためモヤつきに埋もれていた
”リアルさが頭角を現す事”で分離感が向上し、今まで 聞こえなかった繊細な本来の音が再現され、これによりエフェクト乗りの良い加工しやすい音源を得られるだけでなく、エフェクトで潰れ やすい基音がシッカリと存在感を伴いながらも本来の音が リバーブ等と融合する事で例えどのようなアンプを使用しても結果的にランク以上のクオリティが手に入ります。
そして
”人間の聴覚、ひいては脳が感知する エモーショナルな感覚に音を合わせる事”で、一種の感動を呼び起こす揺らぎを 発生させるEWF理論を開発、搭載しており、ケーブルが担う場所の性質とその高い性能からあらゆる機器と組み合わせても非常に高い効果が得られます。
眼前で演奏していると錯覚させる立体感を目指した異色のハイエンドケーブルです。
量販チューニングパーツではなく、結果を求められるプロユースを想定した競技用部品とも言えるサウンドを持つ
特殊専用品の性能をご体感下さい。


 〜 Black Naga 〜 ( 特徴一覧 )
・音色を崩さない高い周波数精度
・時間軸を乱さず伝える事による立体再現(3Dモデリング)
・ 新開発 Emotional Waving Filter 搭載
・発生した信号を余さず表現させる為の高S/N設計
・信号の自己発生ノイズにより特に滲みやすいストロークの分離感に優れる、ノイズキャンセリング特性

・ 叩きノイズに強い構造設計


■ラインサウンドの大きな疑問  〜Vol.1〜
楽器に搭載されてい るピックアップはどのような方式であれ、本来かなりレンジの広い奥行きある彫りの深い魅力的なサウンドを出力しているという事は、一部の者が知るのみで一 般的には殆ど知られていません。
それが多くに知られていない理由として、ピックアップ自体がハイインピーダンス故に信号レベル自体が弱く送信距離によって音痩せが発生し、ダイナミックか つ繊細な表現は失われてしまい、周波数すらも崩れてしまうという問題を抱えています。
この問題を払拭するためにそれ相当の方式やアンプを必要とし、高価なピックアップやアンプを用いたサウンドは音痩せに一定の効果はあるものの、「純粋に生 々しいサウンドであるか?」と言われれば「まだ何らかの加工なりエフェクトを必要とするだろう。」という感覚が払拭できませんでした。
単純な話、
”スタジオ取りの高性能マイクの 録音である生音”に”ラインの音が敵わない”のです。
『生ではないが、割 り切って使っている。』といった声も良く聞かれますが、一体何が違うのでしょう?
ピックアップの音はそれぞれに固有の音色がありますが、特に顕著な違いとして空間再現(位相)が劣る事で音は平面上に貼られた二次元的な印象を感じてしま い、生楽器の魅力である空気感などは削減され、エフェクトやイコライズなど何らかの加工によって出来るだけ
アコースティックらしさを”補正”しているのが現状だからではないでしょうか。
アコースティックサウンドは基となる音が情報量豊かな三次元の音であり、我々は予想以上に音源からの距離感や複合的な反射音を聞いています。この点で常 に”生の音”を聞いている方はラインの音に実にシビアな評価を下されています。
アコースティックな楽器に複数のピックアップを搭載する方、特にピエゾタイプを導入するのは
”如何にして生音を再現させるか”が目的のようにも思えます。
しかし・・・弦の振動を拾う
マグネチックや ピエゾは共にアナログ集音であり、我々の耳やマイクと同じアナログ集音であるにも関わらず、どう聞いて もラインサウンドが平面的なのは一体なぜなのか?
音色が違うのはピックアップの構造上仕方がないとして、時間軸における位相特性が崩れているのは、また別の問題と言えるのではないだろうか?
これがラインサウンドにおける疑問であり、ブラックナーガ開発の発端でした。



■既存技術における問題点の考察。  〜Vol.2〜
音響物の開発を考え る時にいつも避けて通れないものがあります。
それは
音のデザイン(構想)です。
基本開発プランとも言えますがその構想決めは目指すべきゴールとも言え、ここで決めた事は開発品に最後まで影響されますから、相当重要になります。
今回、ラインサウンドのデザインにおいて最も重要視したのは
”生楽器の魅力”です。
開発にかけた全ての技術や理念は終始これに尽きると言えます。
もともとピックアップというのは生の音を拾い上げ、それを増幅して大きな音量で聞くためのものです。
ピックアップらしい固有の音を楽しむのは決して間違いではありませんが、ラボではこのPUが集音したはずの
”生としての魅力”を削る事無く、ラインでマイクの様なサウンドが再現できないか?とい うお客様からのご要望に答えるべく研究開発を行ってきました。

「一 体どこが生らしさの再現の足を引っ張るのだろうか?」
マグネッチックPU、ピエゾPU、シールドケーブル、アンプ、スピーカー、エフェクター。
疑う所は実に多いと言えます。
PUは既存品の調査とチューンナップを行い、アンプはオペアンプを用いたテスト製作も行う事となり、色付けの少ないモニタースピーカーを音の出口に用いて それらを評価します。
どこを 押さえるのが近道であり重要なのかを検討した所、それぞれの部分で押さえなければならないポイントは確実にあり、全てが重要ではありますが、一つだけ気に なる部分が浮上しました。
予想に反して一番重要性の低いと予想していた
ケー ブルがそれです。
いや、重要性が低いと侮っていたのが災いした為に試すのが後回しになったというのが正しいでしょう。
使用していたものはPAなどの現場で良く使われているもので、決して悪い評価のものではありません。

アンプ類についてはある程度改善幅や限界が見えてはいましたし、ピックアップは集音部分ですので取り付けも含め音質はダイレクトに変化する事は分かってい ます。
当初はピックアップの使い方とアンプの性能で目的が達成できるとも考えていました。
それらから出てきた
”音色”はクリアかつ繊細で殆どの方が納得できるようにも思えましたが、実際のニュアンスと比べるとどこか抑圧 されたようにも感じてしまいます。

アンプの性能もピックアップの性能も大切でしたが、しかし・・・どうもおかしい。
音色はどんどん精度を増していくが生のような再生音ではなく、音は平面展開の域を抜けきらない。
ピックアップが拾った音を正しく送信し、正しく出力できれば三次元再生は理論上可能なはずです。
それは例えばスピーカーが演奏者の手、ギター、弦に化けたという状態です(笑)
これは実際問題不可能ではありますが、音色も位相も100%
”実在がそこにある”ので音のモデルケースとしては最 高の状態です。もし、この状態を”音だけで再現できる”のであれば、スピーカーからギターのボディの輪郭 や手の運びが立体的に見えるようなレベルで出てくるはずです。
そして、それが本当の意味での
”再生機”と言えるのではないか?とも考えられます。

「こ れまでのラインサウンドの延長線上では面白くない。やるなら今までに無いようなコンセプトで
ラボの基本理念である本来の音を引き出すべき。」

という結論のもとに、
”答え”の模索の場としてケーブル(送信)というステージに踏み込む事になります。



■エフェクトケーブル。  〜Vol.3〜
まず音響的な改善を 考えようとした場合、どこがどのように作用しているか把握する必要があります。
様々に変化する音の傾向を何種類もの項目に分けて評価していくという時間のかかる作業を、とにかく淡々とこなして行くしかないのですが、単純にある時点で 良くなったように感じても分析すると実はおかしな音、
つまり原音からすれば
”歪んだ音”であった・・・という実験事例に遭遇する事があります。

ところがこれは意外に多くて、シルドでも当初は国内外のあらゆるケーブルを性能テストしていた時期がありますが、実際そのほとんどは固有のキャラクターを 持っているものであり、その中でレベルの高いものとそうでないものが膨大なテスト品から判明してゆきます。

楽器用でおなじみ国外のあるものは低域が濁って高音がやや不自然に尖り、あるものは一見すると帯域バランスがフラットで良いと感じますが、躍動感が死んで しまって無機質でつまらない音。
あるものはまったく平面で鳴ってしまいラジオを聴いているかのような感覚が・・・(汗)
リアルサウンドには程遠いものが当方の実験では80%、癖はあるがまあまあ聞けるのが10〜15%、残りが使いやすい合格レベルの特性でしょうか。
特に濁りと帯域変化を起こすケーブルは少々扱いにくく、イコライザーで低音から高音まで設定しても既に不用意に
”信号は崩れている”ので、このような配線によりセッティングが困難になっているケースは多いようで、シルドにご相談されて くる方もちらほらおられます。
単純な事ですが、歪んだ音を下段で補正して元に戻して使うという事を無意識に強いられていた訳です。
しかしイコライジングは設定スキルが問われ、崩れた原音は非常に複雑な信号波形となり、こういった帯域の歪みは膨大なチャンネル数を誇るイコライザーでな ければコントロール出来なくなるものなのです。
お手軽なBass、Mid、Trebleでは対応不可になっていたと言えるでしょう。
このような状態を引き起こすケーブルをシルドでは”エフェクトケーブル”と呼んでいま す。

であれば信号が通る
部分”できるだけ原音を忠実に送る方が良い場合は圧倒的に多くなります”
癖は考えようによっては面白いのですが、ここで変にエフェクトされるとせっかくの原音が加工されてしまい、本来別に用意したエフェクターをかけても先にか かったケーブルエフェクトでニュアンスは既に消えており、いかにも
”エフェクトしました”という低品質の音になりやすい という問題が発生します。

そんな中でも一流レコーディングスタジオ御用達と言われるケーブルは、冷間処理で分子レベルでの導体コントロールに始まり、高性能な自社製ノイズ吸収体、 ノイズキャンセル機構を備えるなど手間もコストも異常なくらいかかっている数メーターで何十万もするものがあります。流石に高度な特性で高いS/N比を誇 る素晴らしいもので、低価格帯には絶対に越えられない壁をまざまざと感じさせてくれます。
この高性能ケーブルは再現力が非常に高く帯域バランスも良好であり、ダイナミックレンジが広く弱音が良く聞き取れるため、
プレイヤーの演奏状況に完全に追いつくのです。
音が速いと言ってもいいかもしれませんね。
普通はケーブルエフェクトでニュアンスが潰れてしまいますのでこうはならず、同レベルのエフェクトでもそれまでよりも綺麗に音の終わりまで表現され、エ フェクト乗りも良好です。
今まで聞いていた音はいたい何だったのかとショックを受けました。

つまりプレイヤーやリスナーが要求する音の速さや音色の正確さは感覚的なものであっても非常に高度なものを要求する項目であり、直感とも言える判断で嘘か 本当を見極めるんです。人間というのは
”違 い”には敏感なセンサーを持っているものとも言われます。国内外で活躍し誰で も知っている、ある大御所ミュージシャンは「人は千分の一秒でも聞き分ける」という事を言っていましたが、これは本当の事だろうと思います。
つまり的確な技術を駆使すればそのプレイヤーの表現を100%に近づける事は可能であるという事です。
しかし、究極を求めるならそれほどまでにシビアに見なければならないという事でもあります。

では
更にもう一歩、何か心に訴えかける感動を音で得る方法はないものか・・・
これを検討した結果、以前に開発プロジェクトとして弦に応用していた”揺らぎ”というものが使用可能である事が追加研究の結果、可能かもしれないと判明し たのです。
しかし、配線の設計段階でこれを搭載する事は非常に難しい事が容易に想像でき、既存品のケーブル製造では組み上げる事が事実上困難であると言わざるをえな かったのです。
揺らぎの効果は高いがコストもかかりますし、途中で頓挫する可能性も高い。
しかし、これはもう理想通りに一から作り出す他に搭載の選択肢がない んです。

前例の無い企画を進めるのはリスクが伴 いますが、それでは革新的なものは生まれないと考え
EWFの開発に着手する事になります。





■スペックとアートの狭間。  〜Vol.4〜
「上手いんだけど、なぜか伝わって来ないなぁ・・・」
プロアマ問わずライブを見ていて、あるいは音源を聞いて私はしばしばこう思う事がある。
ピッチは正確、リズムも破綻は無いし素早いプレイも難なくこなす。ステージパフォーマンスも特に変な所は無いのだが、どうしても技術クオリティと感動がど うも一致しない。
しか し一方では意外にも「演奏は荒くて別段上手 くもないけど、心が熱くなれるプレイ」とい うものにも出くわす。決して正確な演奏ではなく半ば勢いでこなしている感すら漂うのに、それには何か訴えるものがあるのです。
一体どうしてそんな事になるのだろう?

もちろん、正確無比な演奏から色とりどりに表現してしまう演奏家、あるいは麻薬的な質感の高い音色を売りとしている
”素晴らしい音使い”はもちろんいるのだが、一人の聴衆的立場で見ると、音楽やパフォーマ ンス自体に入り込めない場合が時としてある。それぞれに一応なりとも理由は存在するのですが、表現内容のバランスがうまくいっていないケースがこの一因と して存在しているように思う。
どう した事か、旨みという部分が薄い。

そもそも音楽は虚像と現実という二面性を備えた厄介なシロモノである。
如何様にも変わる音というツールを使って、
何 かを表現するのが音楽だからではな いだろうか。
まったく現実離れした世界を表現してもいいのだろうし、リアリティのある描写を音に盛り込んでもいい。そこで大事になるのは、作り手の考えるイメージが聴 き手にうまく伝わっているかどうか・・・。そしてそれが聴き手のハートを掴むものなのかどうか・・・。どういった方向で作品を表現しようが、総合的なバラ ンス感が重要なのだとトップアーティストに垣間見る事がある。知ってか知らずか、彼らは上手いよりも旨いと 感じさせる。
多くの支持を受けるのには、やはりそこに何かしらの理由があるのです。

では、この旨みの正体とは一体何なのでしょうか。
定義付けはなかなか難しいのですが、少なくとも、一般的に音質や曲の内容に違和感のある部分を旨いとは思わないのではないだろうか?空想的な内容は度が過 ぎるとリアリティに欠ける部分が突出し過ぎて共感しにくい。共感しにくいのは聴き手にその経験が無いからですが、ここで?と思われると
低い評価となりかねない。
しかし、逆にただ生真面目過ぎた音や内容でも面白みは無くなる。あまりにも普遍的過ぎる内容や音は日々経験して飽きてしまっている。曲というものは多少な りとも特別な出来事や想い、訴えをテーマに作られるものである。それならば
”共感出来るリアリティ”を伴った中にもある種の”遊び”といった要素が欲しい。
それらが
出来事をリアルにし、ドラマへと装 飾してくれる。
虚像や現実がうまく噛み合っているからこそリアリティに共感でき、装飾にはインパクトが残るのだ。

これは開発者、あるいは調整者にも同様の事を垣間見る事が出来る。
よりアート思考な人間は”創作”を軸に音を考えるため、より主張の強い個性的なものを直感的にチョイスする率が高いと感じる。あくまで自己のイメージ(尺 度)で創作する事が出発点であるがためにその結果アクの強い個性的な音になる傾向にもあるが、必ずしもその音が他人の最高とはならないという側面を持つ。 その正体はリアル以外の自分の最高を求めたがために生まれた
個の価値観。大別す るとプレイヤーに多く見られる傾向ですが、まさに”好み”がこれにあたるのではないでしょうか。
明確 な正解が無いので、創作という作業は最も難しいものとなります。
芸術が芸術たる”ゆえん”でしょう。

逆に、音色の精度のみを向上させる”スペック思考”という考えがあります。
シルドではこの精度を最も初歩的かつ重要な項目として位置づけています。基本的なレベルを決める出発点であり、
言うなれば土台です。
例え ば、ファッションモデルは膨大な人数から選び抜かれた優れた容姿を持っています。この”素材”をメイク、ヘア、スタイリスト、ウォーキング等のプロフェッショナル達がモデルという素材をうまく料理 し、昇華させてゆきます。時には芸術的に、時には街角にふらっと現れた美人へと一流素材を創作します。
しかしここで重要なのは、創作班が素材を手がける以前に、
素材選びの時点でおおよその結果は既に決まっているという事です。素材いかんでは装飾以前に、手直しをしなければスタートラインに立てないという事もあるでしょう。装飾によって昇華させられる部分には限りが あるため、装飾が映える(扱いやすい)素材を得るという事は、何にも増して重要な事柄なのです。

音でも同じ事が言えます。
既にある程度のレベルを持った素材があってこそ、
手直しではなく創 作というエフェクトがしやすくな り、素材自体のクオリティが高ければこそエフェクトをあまりかけない状態でもそのまま使う事が出来るのです。
ここを出発点に考える事で、その後の自由度は確実に拡大すると考えて良いでしょう。

しかしブラックナーガは
”スペック”という観点から見ると必ずしも100%である事を望まれて生まれたも のでは無いと言えます。もちろん”アート”という創作要求に対し、必要と考えられる時間軸と周波数の送信スペッ クを一般普及ケーブルよりも格段に研ぎ澄ませてリアルにしてありますが、それに加えて”旨み”という非常に複雑かつ難解な項目としてEWFを盛り込んでいます。
双方をうまくバランスさせたものがハイレベルなものとなりうる可能性を持っていると考えているからです。
素材を忠実送信で磨きあげたうえで、素材を殺さない加減でスパイスを隠し味的に使う。
つまりは忠実さのレベルと創作センスのバランスが作品のレベルを決めると考えます。
ブラックナーガの音の秘密と開発難易度は、実はココにあるのです。





原音クオリティの絶対的価値 〜Vol.5〜
音のベースにある高い原音再現性。
ナーガの大部分を占めるこの性能は、出音と演奏の誤差を極力少なくする事でプレイヤーの細かい表現を余さずに伝える事に長けています。
これは楽器の音を表現するうえで絶対的に揺らぐ事の無い必須項目と考えています。


もともとブラックナーガの原型であるプロトラインは音響品としてのリリースを軸に考えて製作されたものではありませんでした。ナーガには前身となるモデル が存在したのです。
シルドの研究にはこれまで以上に忠実な音源信号を得る事が開発で大きなウエイトを占めるようになり、更なる厳密さを要するケースが次第に増えてきたので す。この時に録音された音源はモニターにて随時確認しますが、当時は市販されている音響用配線を使用していたため、どうしても生の音に近い位相特性になら ずにデータベース化できない実験が少なからずあったのです。
ナーガの前身であるモデルはどちらかと言えば社内実験用途の高精度品であり、シルドの開発をより広げるために生まれた、いわばテストラインだったのです。

もともとこれを販売するなどとは当初は考えていませんでした。

なぜなら、相当にコストのかかる代物だったからです。
シルド内での完全設計であり、構成部品から構造に至るまで全てを指定する厳密さを要します。
求め られるのは高い性能ただ一点のみです。ここ ではコストがどうこう言っている場合ではなく、開発ができるかできないかではもはや比べようが無いと言えるのです。
使用部材全てに意味を持ち、構造や処理など相互関係で成り立つ複雑な構造体に組みあげる事で、はじめて独特の立体音が作られます。


そんなある時、このラインのモニター音を聞いたある方がこう仰いました。
「ス ゴイものを仕事で使ってるんだね。これは世に出すべきだよ。」
「なんというか、透き通った音の中にプレイヤーの情念みたいなものを感じる。」
「たくさんのプレイヤーに渡らなくても、絶対にこれが必要だという人が現れるだろうし、少なくとも私はこの音で演奏された音楽が聴きたいと本気で思っ た。」
「音響用に特化させたタイプで作れないか?」
そ ういった経緯もあり、実験的に音楽をより高いレベルで提供するための複数の倍音パターンによるモデルが製作されました。基本的な性能は全テスト品とも高い 水準でまとまりましたが、とりわけ立ち上がる波形のパターンを変え、様々なケースに対応しやすく考慮したものを作り出し、ライブや録音といった現場に実験 投入しデータ採取します。
そのうちの一つがようやくコスト的に手の届きやすい製造形態を採用できた事で、ブラックナーガとして登場したという経緯を辿ります。


音作り全般に共通しますが、単に周波数を上げ下げするだけでは作れない音というのがあります。
実のところ、
音の整形が最も大事なのですね。
イコライザーのツマミを上げるというのは、むしろ虫眼鏡を覗くようなもので上げてみると多くの場合”粗”が露見する事があります。粗い音は持ち上げるとウ ルサイから下げるけど、下げたら下げたで篭る。
そんなケースが実は多いのではないでしょうか?
本当に良くできた音は歪みが少ないのでうるさくなく、抜けのよい形をしているので上記のようなケースとは違い、高い透明感を有してなお聴きやすい形に調整 する事も可能です。
そしてこれはエフェクターの効きにもかなり大きな違いを生む事となります。
どんなエフェクターであっても、入ってきた信号に対して”仕事をする”という形態は変わりません。
この仕事の質がエフェクターの”能力を決めている”のです。そして実はアンプも同様に、
入ってきた信号を増幅するという関係図が見てとれます。


では、
エフェクターやアンプに入れる信号が 良質ならばどうなるでしょうか?


それまでよりもS/N比が良くレスポンスの良い立体的な信号が増幅され、その高い再現音にエフェクトが綺麗に乗ります。この結果、より複雑で繊細な情報量 を伴った音がナチュラルに響き渡ります。
そう、ケーブル後の全ての機器に対して変化が得られる方法でもあるのです。
こんな関係が成り立つと考えられます。

信号→増幅→エフェクト→スピーカー→出音(結果)
<100の信号に対して、様々なフィルターを通るようなものとも言えます>

潰れた信号をアンプやエフェクターに入れても信号は崩れたまま増幅エフェクトされますから、実は大半はその性能をフルには使っておらず、機材処理能力を持 て余して使っているに過ぎないのです。
高級機器を導入しても”性能の底上げ分”改善されますが、根本的な改善ではないという見解です。
むしろ、流入信号の質にこそ拘るべきなのではないか?というのがシルドでの音の構築理論です。


アンプ、エフェクター、イコライザーなどこういった機能をうまく使うには、質の良い元信号は不可欠な要素と言えるでしょう。場合によってはアンプ、エフェ クターを変える投資以上の効果が出る事も珍しくはありません。
どんな高級アンプやエフェクターであっても、
” 入ってくる信号に対して仕事をしている”と いう事実に変わりはないのですから、信号を磨くという事はその後の機材を選ばない汎用性を有しています。
そのためにナーガはありとあらゆる機材と相性が良いのです。


こういった特性を作り出すのは非常に難易度が高いのですが、そこにある原音クオリティというものにはアンプやエフェクターには無い絶対的に重要な価値観が 存在します。
機材をフルに使い切る事こそ、シルドが願ってやまない理念でもあるのです。




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